太陽光と子どもの視力回復の関係は?視力維持に野外活動を進める理由

太陽光と子どもの視力回復の関係は?視力維持に野外活動を進める理由

子どもたちの視力は、日々の生活習慣や環境に大きく影響されることがわかってきました。

とくに現代の子どもたちは、屋内で過ごす時間が増え、デジタルデバイスの普及による長時間使用もみられます。その中で、多くの親が気になっているのが「野外活動で太陽光を浴びることが、子どもの視力にどう関係しているのか」です。


この記事では、太陽光が子どもの視力に与える影響と、視力維持のために推奨される野外活動の理由について詳しく解説していきます。

太陽光と子どもの視力は関係ある?

太陽光と子どもの視力はどのような関係があるのでしょうか。子どもの視力への影響とその与える効果を詳しくご説明します。

太陽光の子どもの視力への影響とは?

結論から話しますと、太陽光は子どもの近視の進行を遅らせる可能性があることが示されています。

太陽光が子どもの視力に与える影響に関する研究では、屋外活動を1日2時間行うことが、近視予防に効果的であるとされています。太陽光を適度に浴びることが、視力へとてもいい効果をもたらすためです。

この研究結果は、子どもたちの健康な視力の維持において、屋外での活動を促進し、適度な太陽光を浴びることの重要性を示しています。

近視のリスクを低減するためには、子どもたちが屋外で活動し、自然光にさらされる機会を増やすことが効果的であると言えるでしょう。

*参考 東京新聞 子どもの近視が増えている 太陽光に予防効果、海外研究で実証 デジタル機器から離れて外遊びを

*参考 近視のいま<1>屋外に2時間 予防効果

近視の進行を抑制!太陽光の効果とは​​​​?

オーストラリアや台湾などで行われた近視予防の研究では、「太陽の光を一定時間浴びることが近視の抑制に効果がある」との結果が明らかになっています。

デジタルデバイスなどで近くを見る時間が長くても、外遊びの時間をしっかりとることで、近視の傾向が改善されます。

また、長い時間、日なたにいなくても日陰にいることで近視抑制に有効であるとも公表されています​​​​。肌が敏感な子どもでも、日陰であれば安心して遊ばせることができます。

この研究結果は、子どもたちにとって適度な太陽光と屋外活動が、視力の健康を維持する上で重要であることを示しています。

ただし、これらの研究はあくまで「近視の進行を抑制する」可能性についてであり、近視が治る、軽減されるといった視力「回復」ではないことをご理解ください。ですが結論として、視力維持のためには適切な日光浴と安全な屋外活動が効果的であると言えるでしょう。

*参考 東京新聞 子どもの近視が増えている 太陽光に予防効果、海外研究で実証 デジタル機器から離れて外遊びを

子どものための日光浴と安全対策

太陽光の良い効果を理解したところで、次にどのような日光浴が子どもたちに良い影響を与えるのでしょうか。日光浴のポイント、適切な時間や方法なども含め、詳しくご説明していきます。

安全な日光浴のためのポイント

子どもたちが安全に日光浴を楽しむためには、環境や気象条件も考慮することが大切です。

日差しが強くない時間帯に日光浴を行うことや、長時間直射日光にさらされないように日陰を活用することで、子どもたちにも大きなリスクがなく、安全に日光浴を楽しむことができます。公園の木陰や大きめのテントやパラソルなどを利用し、適宜休憩を取ることで、日光の直接的な影響も軽減できるでしょう。

さらに、屋外ですので適切な水分補給を忘れずに行うことが不可欠です。暑い日には、子どもたちが十分な量の水を摂取しているか確認し、脱水症状を防ぎましょう。

また、日光浴の際は軽い衣服を着用することが良いですが、熱中症を避けるためにも、適切な帽子やサングラスを使うことで、強い日差しや熱から身を守ることができます。

これらの対策を取ることで、子どもたちは安全に日光浴を楽しむことができるでしょう。

日光を浴びる適切な時間と方法​​​​

日光浴を行う際には、子どもの年齢や健康状態のことも考えながら、一番適切な時間帯を選択することが大切です。

とくに、幼い子どもや皮膚が敏感な子どもにとっては、紫外線の影響が大人よりも大きいため、紫外線が強い正午前後の時間帯を避けましょう。理想的には、朝早くや夕方に日光浴を行うと良いでしょう。これらの時間帯は紫外線の強さが比較的穏やかで、安全に日光を浴びることができます。

また、長時間の直射日光を避け、日陰を利用することも重要です。日陰での日光浴は、直射日光のリスクを減らしつつ、必要な日光を取り入れることに役立ちます。

さらに、子どもの健康状態や皮膚のタイプに応じて、日光浴の時間を調整することが大切です。適度な日光浴は、子どもの成長と健康にとってもとても良い効果があり、これらの点を考慮することで、安全かつ効果的な日光浴を実践することができます。

紫外線対策も考慮しよう

日光浴を行うことは大事ですが、紫外線対策もしっかりと行いましょう。対策案としては、日焼け止めクリームの使用や、帽子やサングラスを着用することが効果的です。

子どもは肌が繊細なため紫外線の影響を大人よりも受けやすく、そのダメージを受け続けてしまうと、将来の健康にも悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。そのため、紫外線対策は小さい頃から親が注意して徹底することが重要です。

過度な対策をしてしまい、子ども達が屋外で遊ぶ自由を妨げないように注意しましょう。

*参考 子供ほど紫外線の影響をたくさん受けている!

デジタルデバイスと子どもの視力の関係

次に、今では当たり前に身近になったデジタルデバイスが、子どもの視力にどのような影響を与えるのでしょうか。また、デジタルデバイスの影響に対してどのような対策方法があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

デジタル機器を長時間使うことによる近視の危険性

現代の子どもたちは、学校教育や日常生活でスマートフォン、タブレット端末、ゲーム機などのデジタル機器を頻繁に利用しており、これが子どもたちの視力に及ぼす影響については様々な調査が行われています。

2022年の「令和4年度学校保健統計調査」によると、裸眼視力が1.0未満の小学生は37.88%に上り、1979年の調査開始以来、最も高い割合を示しています。中学校では61.23%、高等学校では71.56%と、年齢とともに裸眼視力が低下している傾向が見られます​​。

その一方で、実のところデジタル機器の使用時間そのものが直接近視化に影響しているという明確な根拠は、現在のところありません。しかし、これらの機器の使用頻度が増えたことが、昨今の子ども達の近視化に関係していると推測されています。

そのため、前述したように屋外での活動が近視の予防に有効であるとする研究結果もありますので、デジタルデバイスの使用時間を減らし、子どもたちに外で遊ぶ機会を増やすことが、近視の進行を防ぐのに役立つ可能性が指摘されています​​。

結論として、デジタルデバイスの使用には注意が必要であり、とくに子どもたちの視力への影響については、適切な使用時間の管理やバランスの取れた生活習慣の重要性が強調されます。学校や家庭でのデジタルデバイスの利用に際しては、親が子どもの健康面への配慮が求められているのです。

*参考 特集:近視 学校でのICT活用の現状と近視予防

*参考 ICT機器利用における小児の視機能への影響 

*参考 学校保健統計調査-令和4年度(確定値)の結果の概要

スクリーンタイムの設定で視力ケアを!

子どもたちの視力を守るためには、スクリーンタイムの設定が重要となってきます。スクリーンタイムとはデジタルデバイスの使用時間、画面を見続けている時間のことです。デジタルデバイスの使用においては、長時間連続しての使用を避け、適度な休憩をとることが勧められています。また、デジタルデバイスに集中し過ぎてしまうと、画面からの距離が近くなり、視力への影響だけでなく姿勢の正しさにも影響が出てしまいますので、注意が必要です。

スクリーンタイムを設定し、適度なケアを取る方法としては、たとえば画面を30分見たら、20秒以上目を休ませるなどが挙げられます。もちろん、そのご家庭に合わせた休憩時間の長さを設定してもいいかと思いますが、最低でもこれくらいのスクリーンタイムに対する休憩時間を挟むことが求められます。

これにより、眼精疲労を防ぎ、子どもの近視のリスクを減らすことができると考えられています。

*参考 子どもの目を正しく守る

視力低下予防には「アイケアークリップ」の活用もおすすめです。眼鏡に装着するだけで、部屋の暗さや姿勢の悪さなど視力低下につながる事象を察知し、振動で知らせてくれます。お子さまの生活習慣見直しの手助けとなるでしょう。

定期的な眼科検診の大切さ

視力維持や視力低下を防ぐ日常の習慣はとても大切です。それにプラスして、定期的な子どもの目の検査は、視力の問題を早い段階で発見し、適切な対処をするために非常に重要となってきます。

ここでは、親が近視かもしれないと気づくべきポイントや、診察の適切なタイミングなどをご説明していきます。

近視を早めに気づくポイント

近視を早い段階で発見することは、子どもの視力維持にとってとても大切なことです。

親が見るべきポイントとしては、「子どもが物を見る際に目を細める」「テレビや本を非常に近くで見る」「頻繁に目をこする」などの行動に注意を払いましょう。

これらは、視力に問題がある可能性のある兆候です。このような兆候に早めに気づくことによって、近視が進行してしまうことを防ぐことに繋がります。

子どもたちは何かに集中すると、自分で意識して気づくことが難しくなります。そのため、近くで見守る親が近視の傾向にいち早く気づき、眼科医や専門家への適切な相談をすることが必要です。

眼科専門医の診察を受けるタイミング

子どもが上記のような兆候を見せた場合や、そうでない場合であっても、少なくとも1年に1度は眼科専門医による視力検査を受けることが推奨されています。

子どもの目は、身長などの成長と合わせて一緒に成長していきます。その成長の段階で近視の影響を受けてしまう子も少なくありません。定期的な検査によって、近視の進行を早期に発見し、矯正が難しくなってしまう前に適切な対策を講じることが大切です。

学校でも視力検査をするので、ついそれだけで十分だと頼ってしまいすが、専門医の診察を受けることで、学校ではわからないより詳細な現段階での視力への評価が可能です。

「太陽光と視力回復・維持」に関するよくある質問(FAQ)

太陽光と視力維持や回復にはどのような関係があるのかを気にする親は、とても多いです。それではここで、その関係性を気にする親がよく質問する内容をいくつかピックアップし、答えていきます。

太陽光の視力への影響や視力は「回復」するのかどうか。紫外線の影響など、今まで読んできた内容のおさらいとしてもしっかり読んで認識の再確認をしましょう。

太陽光が子どもの視力にどのような影響を与えますか?

太陽光には健康を維持するのに役立つ効果があり、近視の予防や疲れ目の回復にも効果があると考えられています。太陽光は紫外線を含むため、「目に悪い」というイメージを持たれがちですが、適度に浴びることで、目の健康に良い影響を与えることが示されています。

太陽光が視力回復に役立つというのは本当ですか?

科学的な研究によれば、太陽光を浴びることによって近眼の進行を防ぐことができる可能性があります。オーストラリア国立大学の研究では、太陽光によって「快感や多幸感を得る」といった機能を担う脳内ホルモンのひとつ、ドーパミンの放出が促進され、近視の予防に役立つことが示されています。

ただし、これは視力「回復」を意味するものではなく、近視の「進行を防ぐ」効果に関するものです。太陽光によって視力が回復することはありませんので、その点は誤解しないよう注意しましょう。

紫外線は視力にどんな影響がありますか?

紫外線は目に有害な影響を及ぼす可能性があり、長時間の露出は避けるべきとされています。とくに、発がんリスクもあるため、紫外線対策としてサングラスの使用や日焼け止めの塗布が推奨されています。太陽光を浴びる際は、2~3時間程度を限度にし、過度な露出を避けることが重要です。

太陽を直接見ることは良いこと?それとも悪いこと?

太陽を直接見ることは目に悪影響を与えるため、避けるべきです。太陽光の利点を得るためには、直接的な視線ではなく、適度な屋外活動を通じて日光にさらされることが推奨されます。

直接的な視線は危険ですが、目を閉じて2〜3分太陽の光を顔に当てることは効果的とも言われていますので、適切な紫外線対策をした上で、目を閉じて日光浴を楽しむのも良いでしょう。

まとめ|野外活動は視力を保つのに効果的!

子どもの視力を保つためには、日常生活での適切な習慣が重要です。

太陽光は適度に浴びることで、近視の進行を防ぐ効果があるとされ、屋外での活動が視力維持に役立つと考えられています。ただし、視力「回復」ではなく、あくまでも「進行の防止」や「維持」に関するものであることは注意しましょう。デジタルデバイスの使用を適切に管理し、適度な休憩を取る習慣を小さい頃から身につけさせるのも大切です。

また、近視の傾向を感じたり、そうでない場合でも定期的な眼科検診を受けることも重要です。子どもの視力を保ち、近視の進行を防ぐ上で重要な役割を果たします。子どもたちが健康な目で成長できるように、これらのポイントを心がけましょう。

 

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 この記事を監修した人

平良 美津子(たいらみつこ)さん

視能訓練士。北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、一般社団法人みるみるプロジェクトを有志らと共に設立。検査/訓練に立ち会った患児はのべ7万人以上。現在複数の眼科クリニックで勤務。制作を手掛けた弱視治療用管理手帳【みるみる手帳】はキッズデザイン賞受賞。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動に積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。

▷みるみるネットにて視能訓練士平良のみるみる日記 好評連載中

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