眼に良いサプリメントはどれ?~子ども向けも紹介~
健康志向の高まりによりサプリメントはとても身近な存在になりました。店頭やネット通販で多種多様なサプリメントが気軽に買えるようになったぶん、どれが良いのかわかりにくいといった声も聞かれます。
なかでも眼に良いサプリメントに対する人気は高く、どれがお薦めなの?と関心の高い方も多いところ。
そこで今回は、「眼に良いサプリメントはどれ?」という疑問に対し、眼科医療現場からも支持されている信頼性の高いサプリメントについて解説します。
そもそもサプリメントとは?
サプリメントという言葉は、今日のわが国で知らない人はいないほど浸透していると思いますが、その明確な定義はありません。
米国や欧州連合、オーストラリア、ニュージーランド等各国の薬学雑誌の共通部分を集約すると
「サプリメントは通常の食事からは期待し得ない、機能性を有する成分の摂取によって人体の健康な機能を維持、増進改善することを目的としており、1つ以上の栄養分を含み、錠剤、カプセル状など一定少量ごとに摂取可能であって、飲食などの通常の食品の形態をとらないもの」
と集約されています。
参考文献(大濱宏文:欧米におけるサプリメントに対する取り組み。薬学雑誌128:839-850.2008)
サプリメントは健康食品として自由に流通していますが、そのうち特定の健康の維持および増進に役立つと期待される食品について、機能を表示することができる制度として保健機能食品制度があります。
現在大きく信頼性の高い順に
- 「特定保健用食品」
- 「栄養機能食品」
- 「機能性表示食品」
の3種類が定められ消費者庁が管轄しています。
眼に良いサプリメントってあるの?
近年では、眼科医療現場で推奨されるサプリメントも登場してきました。世界中で行われている研究報告をもとに、眼科医が慎重に評価したものが推奨されています。
ただし「眼に良い」と一口に言っても、眼のどんな症状や疾患に推奨されるのかきちんと把握したうえで用いられることが前提です。
子ども向けサプリメント
子ども向けの眼のサプリメントがあるの?と驚かれますが、あります。
小児の近視の進行が緩やかになる効果が報告されているサプリメントロートクリアビジョンジュニアEX®も実際に眼科限定で発売されています。
※服薬対象年齢は6歳以上
※効果を安定させるために6ヶ月以上の服用が望ましいとされています。
この成分は良い⁉眼科で注目されるサプリメント成分
今回は、実際に眼科で注目され販売されているサプリメントやその成分について大まかに解説していきます。
ただしサプリメント成分は様々な研究が進行しており、それぞれ眼科医の見解によって推奨されるものが異なることがありますのでご了承ください。
- ルテインについて
- EPA・DHAについて
- アントシアニンについて
- アスタキサンチンについて
- AREDSサプリメントについて
- ドライアイサプリメントについて
①ルテイン
ルテインはマリーゴールドなどの花や緑色野菜(ホウレンソウやブロッコリー、ケール等)に多く含まれるカロテノイドです。
ルテインは網膜、水晶体、ぶどう膜に存在しています。眼以外では皮膚、乳房組織、卵巣、子宮に存在し、脳で最も多いカロテノイドもルテインです。
参考文献 Bernstein PS, Khachik F, Carvalho LS et al:Identification and quantification of carotenoids and their metabolites in the tissues of the human eye. Exp Eye Res 72:215-223.2001
ルテインは黄斑中心窩に存在し物を見るためにとても重要な働きをする黄斑色素の成分の一つです。
黄斑色素にはエネルギーが大きく毒性の高いブルーライトを吸収するフィルター効果があり、コントラストの向上、グレア(物の見えづらさを生じさせるような眩しさのこと)障害の軽減が期待されます。
光によって生じる活性酸素を消去する抗酸化作用があり、白内障進行抑制効果があることも報告されています
参考文献:Liu XH. Yu RB,Hao ZX et al : Association between lutein and zeaxanthin staus and the risk of cataract : ameta-analysis. Nutirients 22: 452-465,2014
また、黄斑色素密度は個人差が大きく加齢や糖尿病、加齢性黄斑変性で色素密度が低いと報告されています。
参考文献(Obana A, Hiramatsu T, Gohto Y et al : Macular carotenoid levels of normal subjects and age-related maculopathy patients in a Japanese population. Ophthalmology 115:147-157.2008)
1994年Seddonらの研究で、食事によるルテイン高摂取が加齢黄斑変性発症リスク低下に繋がることが初めて報告されて以来、眼科における最も注目されている成分の1つとされています。
参考文献:Seddon JM, Ajani UA, Sperduto RD et al : Dietary carot-macular degeneration. JAMA 272: 1413-1420,1994
ルテインは体内では合成されず、経口摂取により蓄積されるため緑色野菜を積極的に摂取するか(※推奨摂取量は定められていません)、
食事による摂取が困難な場合、ルテイン成分が含有するサプリメントで補う手も有効と考えられます。
ただし、ルテインは小腸で吸収され網膜に蓄積するまでの過程が体質によって異なるため、ルテイン含有サプリメントの効果には個人差があると言えます。
ルテイン製品の一例
②EPA・DHA
EPAはエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic aciid: EPA)、DHAはドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)の略称でありオメガ3脂肪酸とよばれる不飽和脂肪酸の1つです。
オメガ脂肪酸は魚油やナッツ類に多く含まれ、抗炎症作用、抗動脈硬化作用などがあります。
DHAは生体内で網膜外層に最も多く存在しており、DHAの減少は加齢黄斑変性の発症にも密接に関連しています。
参考文献:Bazan NG : The metabolism of omega-3 polyunsaturated fatty acids in the eye : the possible role of docosahexaeno-ic acid and docosanoids in retinal physiology and ocularpatology. Prog Clin Biol Res 312: 95-112,1989
オメガ3脂肪酸は動物実験や臨床研究で網膜血管新生(虚血に陥った網膜から産生される悪い血管のこと)脈絡膜血管新生(虚血に陥った脈絡膜から産生される悪い血管のこと※加齢黄斑変性の患者に診られる所見)に対する有効性、ぶどう膜炎などに対する抗炎症作用などが報告されています。
参考文献:標準眼科学第14版179、282、2018 あたらしい眼科第35巻第6号728 2018
DHAサプリメントの一例
③アントシアニン
アントシアニンはブルーベリー等のベリー系の果物、赤いリンゴ、ブドウ、ワインなどに含まれており赤~紫色の食材に含まれていることが多い色素です。
アントシアニンは通常の身体機能維持に必須ではありませんが健康に良い影響を与えるかもしれないと言われる植物由来の化合物です。
アントシアニンには抗酸化作用、心血管保護、糖尿病抑制、肥満抑制、および抗腫瘍作用を持つことも報告されています。
参考文献:Ongkowijyo P, Luna-Vitalu DA, Gonzalez de Mejia E: Extraction techniques and analysis of anthocyanins from food sources by mass spectrometry: An update. Food Chemistry250 :113-126, 2018
アントシアニンに関するヒト臨床研究ではVDT作業による眼精疲労に対しビルベリー抽出物(アントシアニン36%含有)を摂取させたところ改善効果が認められたとのことですが再現性が確立されておらずまだ詳細は不明です。
参考文献:あたらしい眼科第35巻第6号735-738 Yoko Ozawa 2018
アントシアニンサプリメントの一例
④アスタキサンチン
アスタキサンチンはサケやイクラなどの橙色色素のことでカロテノイドの一種です。アスタキサンチンは抗酸化作用、抗炎症作用があります。
動物実験ではアスタキサンチンの摂取により脈絡膜血管新生の抑制効果、抗炎症効果が報告されており、抗酸化作用により眼の紫外線対策、老化対策に有効である可能性があり研究が進められています。
参考文献:Izumi-Nagai K, Nagai N, Ohgami K et al :Inhibition of choroidal, neovascularization with an anti-inflammatorycarotenoid astaxanthin.Invest Ophtalmol Vis Sci 49:1679-1685,2008、 北市迩伸義、石田 晋、杉田 直:アスタキサンチン.新しい治療と検査シリーズ. あたらしい眼科29:63-64,2012
医療機関向けアスタキサンチンサプリメントの一例
引用/アスタリール®ACT(アスタリール株式会社ホームページ)
⑤AREDSサプリメント
加齢黄斑変性の予防に対してアメリカで実施されたサプリメントに関する大規模介入試験(AREDS)で効果が証明されたサプリメントのことで実際に眼科でも販売されているためサプリメントの中で信頼性は最も高いと考えても良いものと思われます。
AREDSサプリメントの一例
⑥ドライアイサプリメント
治療方針や科学的根拠がまだ不足しておりあまり普及していませんがVDT作業を要すライフスタイルの人口の増加に伴いニーズは今後も増加していくことが考えられます。
現在販売されているドライアイサプリメントに含まれている有効性が報告されている成分として乳腺、涙腺から分泌されおり動物実験において涙液の安定性や涙液分泌の増加が認められているラクトフェリン、臨床研究で涙液層破壊時間の延長やドライアイによる痛みなどの自覚症状の軽減が報告されているEPA、DHA等があります。
参考文献:Dogru M. Matsumoto Y, Yamamoto Y et al : Lactoferrin in Sjogren`s syndrome. Ophthalmology 114 :2366-2367,2007 、Sullivan BD, Cermak JM, Sullivan RM et al : Correlations between nutrient intake and the polar lipid profiles of meibomian gland secretions in woman with Sjogren`ns syndrome. Adv Exp Med Biol 506 : 441-447. 2002
ドライアイサプリメントの一例
子ども向けサプリメント
小児の近視の進行が緩やかになる効果が報告されているサプリメントロートクリアビジョンジュニアEX®も実際に眼科限定で発売されています。
※服薬対象年齢は6歳以上
※効果を安定させるために6ヶ月以上の服用が望ましいとされています。
異変を感じたらまずは眼科を受診しよう!
私が勤務する眼科でもサンテルタックスⓇを取り扱っています。
加齢黄斑変性をはじめ、自身にしかわからない様々な眼の症状に不安感を抱かれている患者様は想像以上に多くいらっしゃると思います。
定期的な眼科受診により眼の症状をしっかり診てもらうことがまず第一段階。
処方薬や治療のプラスαで症状に合ったサプリメント(過剰摂取などの健康被害に及ばないよう必要なものを必要なだけ)を捉えることができるよう、眼科医を中心に医療スタッフは情報をアップデートしながら患者様のQOL向上に貢献してまいります。
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この記事を監修した人
松井萌珠さん看護師・視能訓練士(広石眼科医院) / 北九州市出身 2008年看護師免許取得
病院勤務を経て医療法人広石眼科医院入職(現職)。眼科検査の重要性を痛感,勤務しながら九州保健福祉大学で学び2021年視能訓練士免許取得。小児眼科を辰巳貞子先生(小児眼科医)平良美津子先生(視能訓練士)に師事。眼科勤務に邁進しつつ、みるみるプロジェクトアンバサダーとして子どもの眼の啓発活動にも取り組む。