眼精疲労とは?主な原因や簡単にできる対策は?
はじめに
「スマホやパソコンの使い過ぎで目が痛い、肩がこる」など、目元や身体に疲れを感じてはなかなか回復しない。こんな経験はありませんか。 もしかしたらただの「疲れ目」ではなく、眼精疲労かもしれません。
実は眼精疲労の場合は、適切な対策をとらないと回復しづらい特徴があります。
そこで本記事では眼精疲労の原因と、その原因に対する対処の方法を解説します。眼精疲労の原因と対策を知って目への負担を減らし、スマホやパソコンを楽しく活用していきましょう。
眼精疲労とは
❝眼精疲労とは視作業(目を使う仕事)を続けることにより、目の重圧感・痛み・視力低下・羞明(眩しさ)・複視(ダブって見えること)・充血などの症状や、頭痛・肩こり・悪心・嘔吐などの全身症状が出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態をいう❞
参考)現代の眼科学 改訂第11版,金原出版,2012,52.
疲れ目であれば、十分な睡眠や目を休ませることで比較的改善しやすい一方で、眼精疲労は慢性的な身体症状が特徴的。
また、眼精疲労は以下のような要素から判断します。
- 症状の程度…目の疲れや痛みで日常生活に支障があるか
- 二次症状の有無…頭痛や肩こり、めまいなどの身体症状も併発しているか
- 症状の持続時間…睡眠や休憩で症状が改善するか続いているか
疲れ目と眼精疲労は見分けづらいため、目に強い違和感を覚えたり、疲れ目が長引いたりする場合は眼科の受診も視野に入れてみましょう。
眼精疲労の原因
眼精疲労の原因は様々ですが、目の疲れやこりは「毛様体筋」という水晶体の厚みを調整する筋肉の疲れと考えられています。
特に、毛様体筋は近くを見るときに収縮し続けるため、疲れがたまりやすくなります。 毛様体筋が疲れやすい原因には、環境要因や病気、心因性などが挙げられます。
長時間の画面の見過ぎや環境
眼精疲労の原因の多くを占めるのが、スマホやパソコン、タブレットなどで長時間作業をしたときに生じるVDT(Visual Display Terminal)症候群です。
VDTでの作業が続くと毛様体筋の緊張も続き、目元に疲れがたまりやすくなります。他にも、VDT作業時の照明も眼精疲労の原因の1つです。 暗い場所での作業はピントを合わせにくいため目への負担も大きくなります。
度の合わない眼鏡の着用
目の使い過ぎだけでなく、自分の視力に合っていない眼鏡の着用も眼精疲労の原因になります。
近視の眼鏡やコンタクトレンズは遠くのものを見やすくするために作成します。そのため、遠くを見やすくするために度を強くすると、近くのものを見るときに余計な目の調節力が必要となり、目への負担が強まります。
過度に視力を矯正してしまうとかえって目が疲れやすくなることを知っておきましょう。年齢や生活スタイルにより場合によっては、近くを見るための眼鏡を別で作成することも必要です。
目の病気
目の病気をもっている場合も、疲れ目や頭痛、肩こりなどの眼精疲労を引き起こしやすいと言われています。
- 白内障…水晶体が濁ることで視力が低下し、見えにくさをどうにかしようと目を酷使してしまう
- 緑内障…視野が狭くなることの見えづらさから目を酷使してしまう
- 外斜視や外斜位…両目の焦点を合わせるために目の筋肉を使うので疲労がたまる
ドライアイ
VDT作業中にまばたきが減り、目の表面の涙の量が減ると見えづらさの原因になります。
目の表面が乾燥することで、角膜に異常が生じたり目の痛みを感じたりすることも。 眼鏡や休息以外に、涙も目を疲れや痛みから守る大切な要素と言えます。
心因性
日々のストレスも眼精疲労の原因になり得ます。 人間関係や仕事に悩むと、全身に力が入ってしまったり、不眠や血圧の上昇など身体症状がみられたりします。
目元の筋肉もこることで眼精疲労が生じることも。 気持ちの緊張が続くとまばたきのような自然な運動も減りやすいのです。
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眼精疲労の対策
眼精疲労は極度に目が疲れている証拠でもあるため、意識的に目をいたわることが大切になります。 日常的に、誰でも行いやすい対策を挙げるので、自分がやりやすいことから始めてみましょう。
目を休ませる
スマホやパソコンは、どうしても画面を見る時間が多くなりがち…。
仕事に遊びに長時間画面を見たくもなりますが、目を休ませるためにこまめに休憩もとるようにしましょう。
画面から目を逸らし、毛様体筋を緩めるために遠くのものを見ると、効果的に休むことができます。
目元を温める
アイマスクや蒸しタオルなどで目元を温めてみましょう。 目元を温めることで血行が良くなり、目の痛みや疲れを和らげることが可能です。
濡れタオルを500ワットのレンジで30秒~1分ほど温めて、3~5分ほど目元に乗せるとすっきりしやすいでしょう。
眼鏡やコンタクトレンズの度数調整
見えづらい場合や過剰な矯正は目の負担につながります。 そのため、定期的に度数をチェックし、自分に合った度数の眼鏡を使用しましょう。
まとめ|意識的に目のケアを取り入れよう
目とは、私たちが多くの情報を知るために毎日使う重要な感覚器官の1つです。 目をいたわる行動をとらないと、眼精疲労はすぐにやってきます。 「意識的に目を休ませる」対策も重要ですが、他にも眼精疲労の対策はあります。
- 目元を温める
- 眼鏡やコンタクトレンズの度数調整
目の痛みや身体のこわばりを解消するために、定期的に身体や眼鏡、コンタクトレンズのメンテナンスを取り入れましょう。
この記事を監修した人
岸川亜洲香さん 視能訓練士
熊本県出身 福岡国際医療福祉学院(現:福岡国際医療福祉大学)卒業
卒後、福岡市立こども病院眼科に入職。尊敬する視能訓練士平良さんから小児眼科を学ぶ。その後眼科クリニックにて小児眼科の経験を積み、出産を機に退職。母親として子育てと仕事を両立し、患者さんや親御さんに寄り添える視能訓練士を目指す。