失明の危険性もある!?強度近視と病的近視とは?

失明の危険性もある!?強度近視と病的近視とは?

「目が悪い」というと近視や遠視を想像する人が多いですが、近視の中でも 強度近視や病的近視という言葉を知っていますか? 近視とは「近くは見えても遠くがぼやける」状態であり、その程度の差は様々。 病的近視となると視力矯正をすれば済む話ではなく失明の危険もあります。

本記事では強度近視と病的近視について違いも含めて解説するので、 予防知識として最後までご覧ください。

強度近視とは

強度近視は、眼球の長さ(眼軸)が伸びてしまうことで 網膜で焦点を合わせることが難しくなってしまい、 遠くがぼやけて見えてしまう状態です。

目の健康をリードするACUVUE令和4年5月13日閲覧

本来、私たちの眼球は近くを見るときに水晶体(レンズ)を膨らませて、 遠くを見るときに薄くさせて光を調節します。 そして網膜(フィルム)で焦点を合わせることで 物をはっきり見るのが知覚のメカニズムです。

眼軸が伸びてしまう原因は明らかになっていませんが、 近視の度合いが強まることで徐々に眼軸が伸びてしまうことが分かっています。 近視には弱度、中等度、強度と差があり、視力ではなく 光を屈折させて読み込む屈折度数(D:ディオプター)という値で 程度の差を見ることができます。 屈折度数は1÷焦点距離(m)で計算可能です。

たとえば裸眼で50cmまでならはっきり見える人の場合、1÷0.5(m)で屈折度数は2D。 近視の場合は頭に-をつけ、強度近視だと-6D~-10D程度が該当します。 視力と屈折度数は比例しませんが、屈折度数が高いほど 眼球への負担は大きくなることが考えられます。 屈折度数は、指の腹を遠くから目の前に近づけていき、 はっきり指の指紋が見える距離が12cm程度だと強度近視の可能性があるため、 気になる人は確認してみてください。

病的近視とは

病的近視は、眼底(眼球の奥)が突出して変形してしまうなど異常をきたす状態です。 強度近視であれば眼鏡やコンタクトレンズで視力矯正が可能ですが、 病的近視の場合は視力矯正が効かない特徴があり、悪化すると失明の危険もあります。 近視という名称ではありますが、病的近視は近視の強さ(屈折度数)は問われません。 ただし、強度近視は眼球への負担が大きくなるため 病的近視を起こしやすい状態とも言えるでしょう。

病的近視の症状

病的近視になると、視神経の中でも重要な黄斑部のむくみが生じたり、 眼軸が伸びることで網膜剥離が起こったりして眼の機能が低下します。

視力にも支障が出るため、見たいものがぼやけたり 歪んだり暗点になったりすることも。 また、黒い虫のような影や視界に光が入るように見えてしまう飛蚊症や 光視症が生じることもあります。

「視界がぼやける」だけでなくこのような症状がある場合は ただの近視とは言いきれません。 また、病的近視になると、眼底に以下のような合併症を引き起こす可能性があります。

  • 黄斑部出血
  • 近視性牽引黄斑症
  • 近視性視神経症

「黄斑部出血」では、網膜の中心部にある黄斑部が出血してしまい、 突然の視力低下につながります。 出血の状態によっては視力低下のほか暗点や歪みが生じることも。 黄斑部出血は病的近視の患者のうち1割に発症が見られます。

「近視性牽引黄斑症」も病的近視の患者のうち1割に見られる合併症であり、 眼軸が伸びて眼底への負荷が大きくなることで 網膜が伸びきれずに避けてしまう病気です。 視力は低下し、悪化すると網膜剥離や 失明につながってしまうため手術が必要になります。

「近視性視神経症」では、眼球が異常に伸展し眼圧にも影響が出ることで 視神経や神経線維がダメージを受け、視界が欠けたりぼやけたり視野障害を起こします。 視神経が障害されると緑内障に発展する可能性もあります。

強度近視と病的近視の違い

強度近視と病的近視は同じ近視という名称でも別物です 

強度近視は遠くがどれだけ見えづらいかを測っているのに対し、 病的近視はその名の通りほかの病気も発症してしまう特徴があります。 近視が強まることで眼球への負担が大きくなるという意味では、 強度近視は病的近視の前段階とも言えます。

視力の低下やぼやけて見えることなど症状は似ていても、 焦点が合わせづらいためだったり眼底の変形異常だったりその原因も別物です。

強度近視と病的近視への対応

強度近視と病的近視はどちらも有効な治療法がまだ見つかっていませんが、 眼科で自分の視力や眼圧を正しく測り、眼への負担を減らすことが重要になります。 強度近視であれば、近視の進行を遅らせるため遠近両用での視力矯正をしたり、 近視用の眼鏡やコンタクトレンズでは近くをあまり見ないようにしたり工夫が可能です。 近視は放っておくと進行してしまいます。

子どもの内から目の負担を和らげてあげることが効果的です。 また、病的近視そのものを改善する術はありませんが、 抗VEGF薬という薬を眼球に注射するなど眼底の変形異常に対する治療で 視力の改善が期待できます。

まとめ

今回は、強度近視と病的近視について解説しました。 どちらも根本治療ができず、近視は進行すると弱度、中等度、強度近視となり、 眼の負担が大きくなれば病的近視になって他の合併症も引き起こしてしまいます。

特に病的近視は早期発見で治療の確率が高まるため、 子どもの頃から眼の負担を和らげる工夫として眼鏡やコンタクトレンズの利用、 生活習慣の改善が重要です。 SNSを楽しんだり仕事に一生懸命取り組んだりするためにも、 若いうちから定期的に検診を受け眼の状態を把握しておきましょう。

ブログに戻る