こども世代のメガネ、かけるべき?【弱視治療用/視力補正用 それぞれ解説】
こどもの眼について心配する保護者も多いなか
小児眼科で勤務する視能訓練士の立場から
【こども世代のメガネ、かけるべき?】という
疑問に対してお話しします。
こどもめがねには2種類ある?
こどもめがねを、あえて大きく分けると
≪治療用メガネ≫と≪視力補正のメガネ≫があります。
治療用メガネー弱視斜視の治療訓練のため
≪治療用メガネ≫は
弱視(斜視も)の治療用に用いられるものです。
こどもの眼は生まれてすぐ完成しているわけではなく
6~8歳頃までに発達し続けて完成(精密な両眼視機能)しますが
この発達が阻害されている状態が弱視です。
治療訓練によって発達が可能なものを機能弱視と呼び、
診断された場合、必ず治療用メガネが必要です。
この治療用メガネはその子の眼の機能を育てるためのものであり、
メガネをかけ続けることそのものが訓練といえます。
※弱視の詳細は みるみるネット参照ください
視力補正のメガネー❝見えにくさ❞を改善するため
≪視力補正のメガネ≫は
前述した弱視ではなく、両眼視機能は育ったものの、
近視 / 遠視 / 乱視など何らかの原因(屈折異常)があり
裸眼では❝見えにくい❞状態であるので、
この見えにくさを改善するためのメガネです。
一般的に皆さんがイメージしやすいのは、
近視がある場合に 遠くを見るための
≪視力補正のメガネ≫ではないでしょうか。
(注)眼科では「屈折矯正用」とも呼ばれます
実はどちらも【育てる】ツール
どちらのメガネが重要??
わたしは眼や成長に関して「こども」というとき、
0歳児~20歳ぐらいの長い期間を「こども」と総称しています。
豊かに成長しつづける年代であり、
大人が注意を払い 気にしてあげる対象、
という意味を込めています。
「こどもめがね」は、≪治療用メガネ≫ ≪視力補正のメガネ≫
どちらもこどもを育てるための重要なツール、と考えています。
たしかに弱視は8~10歳くらいまでの限られた期間内(視覚感受性期)に
治療がのぞまれますので、≪治療用メガネ≫がとても重要ということは
ご理解いただけると思います。
では、≪視力補正のメガネ≫はそれほど重要ではないのでしょうか?
わたしは、どちらも同じくらい重要ですよ とお伝えしています。
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学習機会の損失
ここではわかりやすく近視のこどもを例とします。
近視は遠くが見えにくい(※どの程度なのかは近視の度数による)
屈折異常の一つです。
いまや中学生高校生にもなると
過半数が近視(強弱はともかく)かというほどその割合は多いです。
教室で黒板を見るシチュエーションを想像してください。
懸命に目を細めてみたり、
先生の説明と見える文字のテンポが合わなかったり。
計算式が特に見えにくい…等…
きっと多くの負担をかけてしまっていると思います。
海外の研究では、近視がある学生で適切な眼鏡をかけている群と裸眼のままの群では学力に差があることが示されたそうです。
学ぶうえで、同じ努力同じ時間同じ授業を受けるのでしたら。
メガネをかけたらもっとよく見えるのに、
黒板が見えにくいままの環境(視環境)は…
学習機会の損失ですね。
より豊かな経験を
学習だけではありません。
こどもたち(0歳~20歳ぐらいまで)は様々な経験を通して成長し
人間形成されていきます。
勉強 スポーツ 集団 行動 遊び 風景。
すべてが大切な経験です。
みるみるプロジェクトでは
遠見/近見 ふたつの視力があるとお伝えしています。
豊かな経験を得るうえで どちらも大切な視力であり、
もしメガネを通じてよりクリアに見えるのでしたら…
こども世代がかける≪治療用≫≪視力補正用≫どちらのメガネも
その子を育てるツールであるとお分かりいただけると思います。
こどもの視環境を
メガネをかけたら度が進む!について
眼科外来で検査をしていますと、
近視による裸眼視力不良のお子さんがたくさん受診します。
初めてわかったというケースも多いのですが、
メガネ装用を薦めると
「メガネをかけたら度が進んでしまう!」
「メガネをかけたら終わりだからかけさせない!」
と頑として拒まれる保護者様が意外と多くいらっしゃいます。
最近はネット情報でこれはほとんど都市伝説だと
知られるようになりましたが、あらためてお伝えいたします。
適切なメガネの装用で「度が進む」ことは、ありません!
(まとめ)ベストな視環境のためなら、かけるべき
こども世代のメガネは
もしメガネ装用でその子の視環境が良くなるのなら、
かけるべきです。
豊かな成長、豊かな発達のためにできる限り
ベストな見えかたを確保してあげましょう。
未就学年齢でも高校生でも、これは同じです。
この記事を書いた人
平良 美津子(たいらみつこ)さん
視能訓練士。北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、一般社団法人みるみるプロジェクトを有志らと共に設立。検査/訓練に立ち会った患児はのべ7万人以上。現在複数の眼科クリニックで勤務。制作を手掛けた弱視治療用管理手帳【みるみる手帳】はキッズデザイン賞受賞。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動に積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
▷みるみるネットにて視能訓練士平良のみるみる日記 好評連載中