【比較】子どもの近視矯正・抑制方法7選|原因や種類も解説!
子どもの近視の増加は、日本だけでなく世界がかかえる問題になっています。スマホやタブレットの普及によって、電子機器に触れる時間が多くなりました。画面から発生するブルーライトは視力低下の原因のひとつといわれていて、長時間の使用や近い距離での操作には注意が必要です。
この記事では親が子どもの視力低下が原因で悩まないように、
- 近視の抑制方法
- 矯正方法
- 子どもが近視になったときの対処法
について解説します。ぜひ最後までご覧になって、子どもの視力が悪くならないように気をつけましょう。
近視の仕組みと原因とは?
近視を発症する人は多くても、近視の仕組みや原因をしっかり説明できる人は少ないかもしれません。自分や子どもが近視にならないように、仕組みや原因を知って対策をとりましょう。それぞれ解説します。
近視になる仕組みは?
近視は、人間の目に備わっているピントを合わせる能力が弱くなっている状態のことです。目に入ってくる光が網膜よりも手前で焦点を合わせてしまい、見たいものにピントが合わずに視界がボヤけてしまいます。
何が原因になる?
近視の原因は、遺伝因子と環境因子が関係しているといわれています。遺伝因子とは、先祖や両親から受け継いだ遺伝子が原因となることです。環境因子とは、近いところを見る作業や暗いところでの作業、屋外活動の減少が原因です。
近視になったときはどちらかが原因と決めつけられるわけではなく、両方の因子が複雑に関与していることも多くあります。兄弟で視力が違っていたり、同じ作業をしていても近視を発症する人としない人がいたりするので、どちらか一方を原因と決めることは難しいのです。
近視には2種類ある!?
近視には「軸性近視」と「仮性近視」の2種類があります。それぞれ特徴があるのでご紹介します。
軸性近視
軸性近視は、遺伝が原因で発症することが多く、眼軸が伸びてしまってピントが合わせられなくなって近視を発症する状態のことです。正常な状態だと網膜の位置にピントを合わせるのですが、眼軸が伸びるとピントを合わせられず、視界がボヤけてしまいます。
遺伝が原因となることが多いため、父親や母親が近視の場合に軸性近視を発症することが多くあります。生活環境によって発症することもあるので、近い距離での作業や暗い場所での作業には注意しましょう。
仮性近視
仮性近視とは、目の筋肉が固まってしまってピント合わせがうまくいかず遠くを見るときにボヤけてしまう状態のことです。スマホやタブレットを長時間近い距離で見続けると、ピント合わせの筋肉が凝り固まってしまいます。
筋肉の動きが凝り固まって悪くなると、目の中のレンズも膨らんだままになってしまいピントがより合わせづらくなります。仮性近視は軸性近視と比べて低年齢で発症することが多く、眼科医での治療と生活習慣の見直しによって回復が可能です。
子どもの近視に対して親ができる予防法は?
小学生から近視になる人が増えています。ここでは、子どもの近視に対して親ができる予防法をご紹介します。メガネなどの視力矯正をしなくても生活に困らないように、ぜひ参考にしてみましょう。
目の休息時間を作る
デジタル機器の操作や勉強などの近くを見る作業を長時間行うと、目のピントを合わせる毛様体筋が緊張状態になってしまい近視が進行してしまいます。目を休めるためには、1時間に10〜15分程度の休憩が必要です。
学校での授業では休憩時間を確保されていますが、自宅での勉強などは休憩時間なしで行ってしまうことが多いかもしれません。長時間の作業をしている場合は、親から休憩時間を取るようにアドバイスしてあげましょう。
子どもの姿勢を正す
正しい姿勢で勉強や読書をすることが、近視対策において重要です。背中を伸ばして、目と対象物の距離を30センチ程度離しましょう。寝転んだまま読書やテレビを見ることも、目にとってよくありません。
悪い姿勢を維持することで、近視が進み、左右の視力に差が出てきやすくなってしまいます。子どもの場合、無意識に姿勢が悪くなってしまうこともあるので、両親や周囲の大人が教えてあげることも大切です。
部屋の明るさや画面までの距離を確保する
勉強や読書は明るい場所で行うと近視対策に効果的です。一般的に、勉強や読書をする際には、十分な明るさ(照度計で200ルクス以上)が必要だといわれています。これはワットで表すと15ワットから20ワットに相当します。
暗いところでの作業は目に悪影響をもたらしますが、明るすぎるのも目によくありません。15ワットから20ワットを目安にして、作業するようにしましょう。
読書や書き物をするときには、画面との距離も大切です。画面まで30センチ以上の距離を確保することで、近視予防に効果があるといわれています。30分に一回は遠くを見るのも近視予防に効果的です。
外遊びの時間を作る
近視の原因として、外遊びの時間が減っていることも挙げられます。日光にあたる外遊びは近視の予防につながり、子どもの体調面にもいい影響があります。1日に2時間程度は外遊びを取り入れると、近視予防に効果的です。
学校の体育の授業や休み時間を利用して、積極的に外遊びの時間を確保しましょう。屋外であれば木陰でも十分な照度(照度計で1,000〜3,000ルクス)を確保できます。夏は直射日光によって熱中症などの危険もあるので、木陰での遊びがオススメです。
近視の抑制方法3選!
近視を抑制するために、さまざまな方法が研究されています。子どもの近視を抑制する方法として、
- アイケアークリップ
- 近視進行抑制点眼
- 多焦点ソフトコンタクトレンズ
をご紹介します。それぞれ確認しておきましょう。
アイケアークリップ
アイケアークリップは、メガネにクリップで装着して使用します。目に悪い姿勢や環境をアイケアークリップが感知すると、振動し子どもへの注意喚起が可能です。目に悪い姿勢や環境は、
- 子どもの姿勢
- 見るものとの距離
- 部屋の明るさ
から判断されます。
アプリで通知を受けられる
保護者が姿勢の悪さを注意すると子どもの集中力が切れてしまいますが、アイケアークリップを使用すると振動によって子どもが自分で姿勢を直すので、集中力が継続できます。アプリ(iOSとAndroid)と連動し、振動したときに保護者のスマホに通知することも可能です。
通知を確認することで子どもの努力やクセを把握できて、
- 注意回数が減っているから、子どもの姿勢が改善されている
- 長時間勉強を続けると、次第に姿勢の悪くなる傾向がある
- 部屋の明るさで注意されるから、照明を追加した方がいい
などの傾向が把握できます。アプリ上のデータを確認して、直接の注意回数を減らすことも期待できます。アイケアークリップは各家庭環境に合わせてカスタマイズもできるので、部屋の状態や子どもの成長に合わせて最適化して使用しましょう。
軽くて電池も長持ち
重量も約7グラムと軽く、コンパクトなサイズでつけ外しも簡単なので、子どもでも負担なく使用できます。バッテリー持ちもよく、フル充電であれば1日3時間の使用で1週間使用できます。
近視進行抑制点眼薬
近視進行抑制点眼薬は、指定された点眼薬を就寝前に点眼する近視抑制方法です。シンガポールで臨床実験が行われて、一定の近視抑制効果が確認されている0.01%アトロピン点眼液(マイピオン点眼)などが普及しています。
点眼をするだけなので、ほかの抑制方法よりも簡単に行えます。さらに、コンタクトレンズを使用するのが難しい子どもでも簡単に抑制を行えるため、負担が少ないです。
この治療法は学童期の子どもが対象です。点眼薬処方後も、3か月に1回は定期的な検査や診察を行い、子どもの目の状態を確認しておきましょう。
注意点として、視力を矯正する効果はなく、一度近視が進行してしまったらメガネやコンタクトレンズの使用を検討する必要があります。
多焦点ソフトコンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズとは、遠近両用コンタクトレンズのことです。海外では子どもの近視進行抑制のために、さまざまなデザインの多焦点ソフトコンタクトレンズを開発しています。
多焦点コンタクトレンズを装用することで、眼軸長の伸びが抑えられたという報告もあって子どもの近視抑制に効果的です。装用した時にゴミなどが入ると、子ども自身で取り外すなどの管理が必要になるため、年齢が高い子ども向けの抑制方法になります。
使い捨てコンタクトレンズと同じように使用できるので、衛生面の管理は比較的簡単です。最近では、多焦点レンズと同じ効果が期待できるDIMS(Defocus Incorporated Multiple Segments)レンズが登場しています。多焦点レンズと同様の効果が期待できるメガネタイプなので、子どもが扱いやすい商品です。
近視の矯正方法4選!
近視を抑制する方法だけでなく矯正する方法も研究されています。近視を矯正する方法として、
- 近視矯正眼鏡
- オルソケラトロジー
- レーシック
- ICL
をご紹介します。それぞれ特徴があるので確認しておきましょう。
近視矯正眼鏡
近視の矯正として一般的なものは、近視矯正眼鏡による矯正方法です。コンタクトレンズや薬物療法と違って管理も簡単で、副反応などの心配もありません。メガネを使用して近視が進行する心配もないので、子どもが小さくても安心して使用できます。
見づらい授業のときだけ使用して、普段は外すといった使用方法も可能です。子どもの視力にあったメガネを使用するために、定期的に視力検査を行うことは忘れないようにしましょう。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、睡眠時に特殊なハードコンタクトレンズを装用して角膜の形状を変えて近視を矯正する方法です。近視の抑制も同時に期待できる、比較的軽度な近視の人向けの治療法です。
睡眠時にコンタクトレンズをつけるだけでOK
睡眠時に一時的に角膜の形状を平らにして、眼の焦点を後方にずらして近視を矯正します。ハードコンタクトレンズを外してもある程度は形状が維持されるので、日中は裸眼で過ごすことが可能です。
レーシックやICLのような手術を行わない治療法なので、子どもや親の負担が少なく、途中で治療を中断することもできます。コンタクトレンズを入れるのは夜間のみなので、大人の管理のもとで使用できる点も安心です。
不衛生な使用では合併症のリスクも
デメリットとして、不衛生な使用をしていると合併症を起こす可能性があります。保険が適用されない自由診療になるので、初期費用がかさみます。子どもがコンタクトレンズの装用に慣れることも必要です。
オルソケラトロジーは比較的信頼性の高い治療法といえるので、ガイドラインを守って治療を行って視力矯正をすることが大切です。衛生面の管理も重要になるので、親と子どもで正しくレンズケアを行いましょう。
レーシック
レーシックとは近視の矯正をするための手術で、目の角膜にレーザーを照射して形状を変更させて視力の矯正を行います。レーシック(Lasik)はLaser in SItu Keratomileusisのイニシャルをとった略語で、「角膜にレーザーを発射して修正する」という意味です。
基本的には18歳以上の人が手術の対象で、角膜の厚さが一定以上あれば治療を受けられます。手術は点眼麻酔を行い、痛みを感じることなく約10分程度で完了します。日帰りでも行える手術なので、日常生活への支障が少ない点もメリットです。
術後には定期検診が必要
術後は安静が必要で、術前検診や術後の定期検診がある点は注意しておきましょう。自分の目と長く健康に付き合うためにも、検診を受けることをオススメします。
手術費用がほかの視力矯正手術と比べて安く、術後の視力回復が早いため多くの人が翌日には裸眼で日常生活が送れるようになるまで回復します。
レーシックのデメリットは老眼の改善ができない点です。近視が回復しても老眼の進行が進んでしまい、老眼鏡が必要になるとせっかくレーシックを受けても裸眼での日常生活が難しくなります。
角膜を削るため再手術ができない
手術では角膜を削るため、一度削ったら元に戻りません。見え方の矯正や思わしくない症状が出たといった事例はほとんどありませんが、再手術を行える網膜の厚さがあることを確認しておきましょう。
もちろん、手術を行う眼科医も術前検診で確認してくれます。手術後にドライアイを発症する可能性もありますが、一時的なものが多く、半年から1年程度で治ります。術後検診で眼科医に見てもらいながら、改善を待ちましょう。
レーシックは安全性の高い手術です。国内外で多くのレーシック手術が行われてきましたが、失明して見えなくなったという報告は1件もありません。レーシックの技術やレーザーの性能は日々進歩しているので、リスクの可能性を充分に抑えられています。
ICL
ICL(眼内コンタクトレンズ)は、目の中にコンタクトレンズを入れて視力を矯正する手術です。目の内側にレンズを入れるので、日常生活の中で外れることがなく術後は裸眼での日常生活が可能です。ICLとは、Implantable Contact Lensのイニシャルをとった略語になります。
強度の近視でも矯正できる
ICLは、レーシックができない強度近視の人でも矯正を行えます。角膜を削らないので手術後でも視界が鮮やかに見えて、安定した視力の長期的なキープが可能です。視力が落ちた場合でも、レンズの交換や取り出しによって視力の調整もできます。
ICLは「コラマー」と呼ばれる、HEMAとコラーゲンの共重合体素材で作られています。コラーゲンによってマイナス荷電をおびていてタンパク質などが付着しないので、生体適合性が非常にいい素材です。紫外線を90%以上カットする特性も備えています。
高額かつすぐに手術できないこともある
デメリットとしては、自由診療のためレーシック手術よりも高額になることが多いです。医療費控除は利用できる可能性があるため、確認するようにしましょう。
眼内コンタクトレンズの在庫がない場合、1か月〜3か月は入荷待ちで手術ができないこともあります。ICLを検討している方は早めに眼科医へ相談に行くことをオススメします。
術後は日常生活に制限があるので確認しておきましょう。激しいスポーツなどは、1か月程度制限されるので注意が必要です。レーシックと同様、術後に感染症や光が眩しく感じることもあるので定期検診は必ず受けるようにしましょう。
子どもが近視になったらどうすれば良い?
子どもの様子に少しでも違和感をおぼえたら眼科医に相談することをオススメします。近視を発症している可能性として、
- テレビやスマホ、タブレットを近づいて見るようになった
- 目を細めて見ることが増えた
- 絵本を読んでいてもすぐに飽きてしまう
- 物を見るとき、頭を傾けることが増えた
- 外で眩しそうにする
といったことが挙げられます。
近視の抑制は早い段階で行えるため、子どもの様子をよく観察しましょう。目が悪くなったと感じていなくても、眼科で定期検診を受けるようにしましょう。
近視の進行をできるだけ遅らせるためにも、正しく矯正することが必要です。授業や勉強への集中力も無くなってしまうので、正しい矯正をしてあげましょう。
コロナ禍による外出機会の減少も、子どもの近視進行に影響を与えています。デジタル端末の使用時間に家庭のルールを作ったり、子どもと一緒に外で過ごす時間を増やしたりといった対策をオススメします。
まとめ|子どもの目が悪いと感じたら、眼科に相談して正しい方法を取ろう!
この記事では、
- 近視の仕組み
- 原因
- 抑制や矯正方法
についてご紹介しました。
治療だけでなく、子どもの生活環境や行動の変化においても近視の予防は可能です。目を休ませる時間を作ってあげたり、部屋の環境や子どもの姿勢を見直してあげたりすることが大切です。外遊びの時間なども確保してあげて、近視予防をしっかりと行いましょう。
レーシックやICLなどの手術を行う場合は、親や子どものスケジュールや眼科医の予約状況を調整する必要があるので、早めの相談をオススメします。子どもの近視対策は早期発見が非常に大切です。
<参考記事>
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