子どもで目の手術を受けることはある?|代表的な斜視の手術を紹介

子どもで目の手術を受けることはある?|代表的な斜視の手術を紹介

今回は「子どもと目の手術」について!

タイトルを見て、

えっ?子どもで目の手術を受けることってあるの?

と驚かれた方がおられると思います。

この記事では、子どもの眼の手術で代表的な斜視の手術について解説をしていきますが、

「斜視が見つかる=必ず手術が必要」ということではありませんので、ご安心下さい。

一般の方々に、目のことに興味を持って頂けるような内容にできたらと思っています。

【斜視手術】~なぜ子どもの時期に行うの?~

冒頭にも書かせて頂いたように、

斜視があると必ず手術が必要ということはありませんが、

子どもの時期に斜視手術を行う必要があるケースもあります。

視機能の発達が8歳までに完成するから!

視力の機能は8歳までに完成すると言われています。(下図参照)

眼の構造の発達と機能の発達 みるみる手帳から引用
【みるみる手帳Ⓡ】第4版P4より
※文献によっては10歳までとしている場合も。

斜視になっている目は使えていない状態なので、片目が遠く・近くで常に斜視になっていると視力の発達に影響が出ることがあります。

※「斜視がある=視力が発達しない」ということではありません。

遠近感は両目を使った機能!

もう1つ、目の機能として、

「両眼視機能」という両目を使うことで得られる機能があります。

両眼視機能の代表的なものは、遠近感を司る立体視というもの。

この立体視は、先ほど上記した視力の発達よりも早くに完成すると言われています。

斜視のパターンによっては早期の斜視手術が必要なケースがある!

斜視のイメージ 内斜視外斜視下斜視上斜視 みるみる手帳より引用

ここまで読んで頂いた方は、

  • 斜視の手術を子どもの頃にするケースもあるんだな。
  • 視力の機能は8歳ごろに完成するんだ。
  • 立体視は8歳よりも前に完成するんだ。

ということがなんとなくわかって頂けていたらばっちりです!

これをまとめると、

視力と立体視の機能を獲得するための年齢には制限があって、

斜視があることで、視力・立体視の発達に影響が出ることがある。

なので、

「斜視のパターンによっては早期の手術が必要なケースがある」

ということになります。

このパターンについては、すごく専門的な内容になりますので、ここでは省略させて頂きますが、逆の言い方をすると「斜視のパターンによっては手術を待てるケースもある」ということになります。

かえってわかりにくくなったかもしれませんが、

  • 斜視っていろんなパターンがあるんだな。
  • パターンによっては早めの手術が必要なケースがあるんだな。

ということがわかって頂けていたら大丈夫です。大切なことなので、繰り返し書かせて頂きますが、「斜視がある=必ず手術が必要」ということではありませんので、ご安心下さい。

 

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自分の子どもに斜視が見つかったら!?

上記したように、全ての斜視ですぐに手術が必要ということでなく

状況によって、

「早期の手術が必要なケース」

「手術を待てるケース」

「手術適応にならないケース」

がありますので、眼科受診の際には、眼科医の説明を聞いてしっかりと相談をして頂くことが大切です。

イメージしやすくなるように2つの例を出してみますね!

【➀早期の手術が必要なケース】

乳児内斜視は早期の斜視手術が必要な場合もある

斜視のパターンの中に、「乳児内斜視」という型があります。

これは、生後1歳までに発症する大角度の内斜視のことで(細かい条件はありますがここでは省略)、

 乳児内斜視では超早期手術(生後1319)が有効という報告もあります! 1)

 1)不二門尚ほか. “弱視・斜視の基礎” 専門医のための眼科診療クオリファイ 弱視・斜視診療のスタンダード.不二門尚ほか編. 東京, 中山書店, 2016 , 168.

生後13週というと、生まれて約3ヶ月ということになります!

なぜこのような超早期に斜視手術をするのか?

→ この記事の途中で説明をした両眼視機能を獲得させるため!

【②手術を待てるケース】

斜視のパターンの中に、「間欠性の斜視」というものがあって、言葉の通り、「時々斜視になる」ということです。一言に間欠性といっても、パターンが様々ありますので、一概には言えませんが、「間欠性の斜視」のうち、視力・立体視の機能をしっかり獲得できているケースでは手術を待てることが多いです。

【斜視の検査】~臨床現場での斜視検査~

眼科の臨床現場では 眼科医と視能訓練士が連携しています

斜視のパターンは本当に様々です。

私たち視能訓練士は医師と連携して、斜視の早期発見・早期治療に取り組んでいます。

具体的には以下のようなことを意識して診ています。

  • 斜視があるか・ないか
  • 視力、立体視の機能はしっかり獲得できているか?

斜視があった場合には、

  • 常に斜視なのか?、間欠性(時々)なのか?
  • 斜視の時に複視は見えているのか?
  • 斜視の角度はどれくらいか?
  • 片目だけが常に斜視なのか?(交代固視できているか?)

↑ 正確にはもっと細かく見えているのですが、このような形で「現在獲得できている視機能の状態」や「斜視のパターン分け」をしています。

眼科で行われる様々な検査で両眼視機能をチェック

最後に

今回は斜視の手術についてまとめてみました!

大切なことなので、繰り返し書かせて頂きますが、「斜視がある=必ず手術が必要」ということではありませんので、ご安心下さい。

今後、「そもそも斜視ってなに?」のような記事を書かせて頂くのもよいかなと思っています。少しでも気になる目の症状がある場合は眼科を受診するようにして下さい!

 

この記事を書いた人

本武 拓真(ほんたけたくま)さん

視能訓練士/国立大学病院で勤務後、現在は個人眼科クリニック(2施設)で勤務中。学会発表、執筆活動の経験多数あり。2021年1月からzoomを用いた視能訓練士オンライン勉強会・相談会を発起、みるみるプロジェクトアドバイザー、SNSでの情報発信など個人での活動も行っている。
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