アイケアークリップ “はじめての”開発ストーリー

これまで、まったく製品開発を経験したことのない一人の広報担当者が、お客様の生の声を聞くうちに、自分から新しいプロダクトを構想。お客様の本当のニーズに応えるために、ついには自らが開発担当者になって、これまで世の中になかった製品をつくり上げてしまいました。

その製品の名前は「アイケアークリップ」。ふだん使っている眼鏡に付けるだけで、AIセンサーと震動ブザーを搭載したクリップが、姿勢の歪みや目に負担がかかっている状態を知らせてくれるアイケア製品です。

製品開発に初チャレンジした林さんに、お話を聞きました。


広報担当 兼 製品開発担当

店頭やインタビューで見えてきた、お客様の本当の声。

 -林さんは「アイケアークリップ」の開発にどのくらい関わっているんですか?


ほぼ全部携わりました。製品の構想からデザイン、試作品のテスト、アプリとの連携、説明書づくりまで。

-もともとは広報やPRを担当するために入社して来られましたよね?


はい。今回の「アイケアークリップ」のもとになった「Ai/Glasses」という製品ができあがった状態で入ってきたのですが、こちらは眼鏡とセンサーが一体型になっていて、まだ眼鏡をかけていない人に、予防や生活習慣の改善のために使っていただくものでした。でも、実際にお客様の声を聞いていくうちに、「眼鏡をすでにかけている人向けのプロダクトがにあった方がいいよね」とう提案につながっていったんです。

-お客様の声をもとに、課題に気づいたのですか?


そうです。202012月に「Ai/Glasses」が発売されたのですが、その頃は、コロナ禍で子どもたちに11PCやタブレット端末が配られてオンライン授業が全国に広がっていった時期で、「お子さんの目が危ないです」という注意喚起からはじまりました。

 ところが実際に販売してみると、そういう危機を感じている方はすでに眼鏡をかけていて、近視の症状が表れている。であれば、眼鏡をかけている人向けのアイケア製品があったほうがいいのではないかと。

 -そういうお客様の声は、どこで聞いたのですか?

 林
Ai/Glasses」を発売してから、百貨店の眼鏡屋さんで実際に売り場に立たせてもらって、直接お客様に説明をさせていただく機会があったり、購入していただいた方に連絡を取ってインタビューをさせてもらったりしました。 


インタビューや店頭での接客をしてみると、危機意識を持っていらっしゃるのはすでに視力が低下してきている方で。まだ目がよく見えて眼鏡を掛けていない子どもの親御さんは「そうね、うちもずっとゲームしてるから、このままじゃ目が悪くなっちゃうかもね」とは言うものの、まだ他人事でなかなか当時者意識を持ちにくいことがわかりました。

-たしかに難しいですよね、健康な時にそうじゃない状態を想像するのって。ほかの健康のお悩みもそうかも知れませんが、症状が出てはじめて「気を付けなきゃ」と思う気がします。


購入されたお客様へのインタビューも、電話やメールでアプローチして、Zoomで行いました。その方たちの半分以上は、お子さんの学校での視力検査の結果が「まだメガネをかける程ではないが、視力が下がっている」というC判定の方たちでした。ちょっと視力が悪くなってきて、これ以上悪くしたくないという方が一番多く購入されていることに気づいて、今使っている眼鏡に取り付けてもらえるアイケア製品をつくろうという提案につながっていきました。

 ふだん使っている眼鏡に、“すぐ付けられてすぐ外せる”センサーを。

眼鏡のフレームにセンサーを取り付けるという“クリップ”型のデザインはどんな風に生まれたんですか?


目の生活習慣を改善してもらえたらと思う一方で、1日中ずっと気をつける必要はないと思っていて。ゲームをする時や勉強をしている時に気をつけることが大事ですから、「ゲームをするから付けなきゃ」「勉強するから付けよう」というように、要所要所ですぐ使ってもらえるものにしたかったんです。

 -「アイケアークリップ」は、ずっと眼鏡に付けておかなくてもいいんですね。

 林
そうですね。ふだん生活していて「ゲームやるからつけなきゃ」っていう時にサッと付けられて、1,2,33回タップで起動する。“すぐ付けてすぐ外せる”という所にこだわりました。付け外しが大変だと習慣にはならないと思うので、意味が無いなと。

 -ふだん使っている眼鏡は、人によって違うと思うのですが、どんな眼鏡でも取り付けできるのですか?


実はそこが一番苦労したところです(笑)。子ども用の眼鏡にもフレームの幅が1mmのものもあれば、3mmくらいのものもあって全然違うのですが、どんなサイズのメガネにもかんたんに付けられるようにするのに、すごく苦労しました。

お店に並ぶ眼鏡のフレームを全部測って、辿り着いた仕様。


こつこつと街の眼鏡屋さんに通って、子ども用から大人用まで全部のフレームの幅を測らせてもらいました。取り付け部分のサイズを測り尽くした結果、ほぼ95%以上は1mmから5mmの間というデータが取れたので、付属品をつくって1mm5mmまで4段階サイズ調整をしてもらえる仕様に辿り着きました。

 -イヤホンでも買った時に、自分の耳の大きさに合わせて装着部を変えられるようにオプションパーツが付いていたりしますけど、そんな感覚ですか?


そんな感じですね。これまでに無いジャンルの製品なので、どうかたちにしようかと。洗濯バサミのような形状を考えてみたり、筒状にしてフレームの耳側のほうから装着しようとしてみたり、クリップ型の形状に辿り着くまでも、いろんな試行錯誤を重ねています。

-林さん、本来のお仕事は広報ですよね。ここまで徹底的に製品開発を!!(笑)


自分でもはじめての経験です(笑)。いろいろな方に助けてもらいながら、半年かけて「アイケアークリップ」を世に送り出すことができました。

目の専門店で、サンプリング調査も実施。つくり込みの過程でも、お客様の声と向き合ってきた。

 -これまで眼鏡に何かを付けるという行為自体が無かったと思うのですが、重さや装着感は気になりませんか?


そこもぜひお伝えしたいポイントなのですが、“軽さ”にもこだわっていて、これまで店頭でサンプリング調査も重ねてきましたが、重さや付け心地が気になるという方はいませんでした。

 -店頭でのサンプリング調査もすでに?


はい。私たちの会社はアイケアグッズの専門店「meno memo」というお店を運営しているので、そこでサンプル品をお客様に体験していただいて、操作方法の改良につながるヒントなどをいただきました。


たとえば、起動方法です。スイッチ部が下に触れる状態でテーブルに置いたり、鞄に入れて持ち運んだりする時に誤作動を起こしてしまわないように、1,2,33回タップで起動する仕組みを考えたのですが、スイッチの反応が早過ぎても遅すぎても駄目で、絶妙のタッチ感度を設定するためにも、皆さんに実際に使っていただいた時のフィードバックが役立ちました。

 -本当に、いろいろな方の声を聞きながら生まれた製品なのですね。

 お子さんも、おうちの人も、どちらもハッピーに。


店頭でお客様の声を伺っていると、お母さんも「ふだんから注意しているんです」という方が多かったです。「あなた目が近いよ、気を付けて」という注意を、毎日繰り返していると。でも、子ども自身も近づきたくて近づいているわけじゃなくて、夢中になるあまり近づいていってしまうんです。このクリップを眼鏡に付けると、目や姿勢に負担がかかった時に自動で震動ブザーが知らせてくれるので、お母さんが声をかける回数が減るし、子どもも自分で気づける。

-それは、お子さんにとっても、おうちの人にとってもハッピーなことかもしれませんね。


お子さんも怒られてばっかりだと嫌だと思うんですけど、これだったら「これで110回注意されたら終わりだよ」という風に数字に落とし込めるので、ゲーム感覚に変わるんです。おうちの中でのルール付けとしても使っていただけるのではないかと思います。

 


やっぱりお子さんにゲームをさせたり、YouTubeを見せたりすることに罪悪感を持っている方が少なくありませんでした。「アイケアークリップ」があることで、そんな罪悪感を軽減してもらうとともに、しっかりと目の習慣をケアしていただけたらうれしく思います。 

アプリとつないで、“習慣を見る”ことができるアイテム。

 -「Ai/Glasses」と同じように、「アイケアークリップ」もスマホアプリと連携しているそうですね。主な機能について、教えてもらえますか? 


このクリップが震えた時に、お母さんやご自分のスマホにリアルタイムで通知が行くので、遠隔でもお子さんの状況を知ることができます。そして、1日に注意された回数が分かるところですね。たとえば「目が近い」を今日何回注意されています。「姿勢が悪い」「光が暗い」を何回注意されています。つまり習慣ですね。“習慣を見る”ことができる。これが大きな機能のひとつです。他にも、ご家庭の環境に合わせて注意される「目の距離」の設定を変えたり、姿勢の角度を設定することができます。


30度下を向くと頸椎の負担が3倍になると言われています。僕自身も以前は電車の中でふつうに下を向いてスマホの画面を見ていて、ずっと肩こりがひどかったのですけれども、「Ai/Glasses」や「アイケアークリップ」を自分で使っていくうちに電車の中でも顔をまっすぐにして画面を見るようになりました。全然違いますね。今では肩こりや目の疲れがほとんど無くなって、たまに首を下に向けると「こんなに辛い姿勢だったのか」と自分でも驚きます(笑)

「姿勢」と「時間」をコントロールすることで、体の疲れ方も、仕事や勉強の集中力も変わっていく。

 -自分自身でも効果と変化を実感しているんですね。


はい。すごく感じています。生活習慣が変わると体調も変わるのだということを身をもって経験しました。ですからこの「アイケアークリップ」は、子どもたちだけでなく、オフィスワークやリモートワークで長時間椅子に座っているような大人の方にもぜひ活用してもらえたらと思います。

座ってパソコン仕事をしている時、疲れてくるほど姿勢が悪くなり、その姿勢が疲れをさらに増加させてしまうという悪循環に陥ってしまいます。仕事や勉強の集中力を高めるためにも、姿勢と時間のコントロールはとても重要だと言われています。「アイケアークリップ」で、自分の「姿勢の傾き」や「画面を見つめている時間」を見える化することで、適度なタイミングで休憩を取って目を休めたり、正しい姿勢と習慣を身につけてもらえたら、開発者としてこれほどうれしいことはありません。

 

Next article
みんな“目”のこと、どう見てる? 〜はたらく大人篇〜2022.09.03
Recommend
Category