なぜ子供の視力が日によって違うの?親に知ってほしい理由と対策

なぜ子供の視力が日によって違うの?親に知ってほしい理由と対策

子供の視力は日によって違う、変わっていくのかと心配されている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに子供の視力は変動していきますが、基本的には数ヶ月単位での長期間での変動です。視力の変動はなぜ起きるのか、そうならないための対策方法はあるのか。親として知っておきたい内容です。

本記事では、子供の視力が変わっていく理由と、それに対する対策方法について詳しく解説します。また、子供の視力が下がっている時にみられるサインや対処法などもあわせてご説明しますので、親としてできるサポートとケアで、子供の目の健康を守ってあげましょう。

子供の視力はどうして変わっていくの?

子供の視力はどうして変わっていくのか。実はいくつかの理由があります。ここでは、視力が変わっていく理由や視力が下がってしまう原因に注目して、詳しく解説していきます。

子供の視力はなぜ変わるのか?

子供の視力が変わっていく理由として、主に以下の3点が挙げられます。

  • 成長に合わせた視力の発達と感受性期間

子供の視力は成長に合わせて発達し、6〜8歳ごろまでに視機能の発達がほぼ完成します。この発達過程で、視力が変わっていきます。

また、視力の発達する時期を「感受性期間」と呼び、この期間に発達を妨げる眼の異常があると、視機能に影響を及ぼし、弱視や近視になることがあります。

  • 身体的な成長期

身長や骨格が成長するように、眼球そのものも成長します。この成長期では眼軸長(角膜から網膜までの眼球の長さ)も変化し、それに合わせて視力も変化しやすい時期と言えます。

近視の発症や進行が大きいのは、この成長期であることがほとんどで、高学年になるほど増加する傾向があります。

  • 健康状態の影響

子供の体調や健康状態によっても視力は変動することがあり、疲れやストレスが関係している場合があります。

このように、子供の視力が変わっていくことは成長の一環であったり、一時的な体調による問題の場合もあります。しかし、だから仕方がないと諦めたり、今は様子をみればいいというわけではありません。

視力は徐々に変化し、中にはわずか6ヶ月〜1年で大きく裸眼視力が低下する場合もあります。子供のためにも、定期的な眼科の診察を受け、適切な処置を受けることをオススメします。

*参考 子供のこどもの眼\(視力\)の発達について

*参考 小児眼科【大竹眼科医院@浦和】斜視・弱視など

*参考 子供が近視といわれたら

視力が下がってしまう原因は?

子供の視力が下がる原因としては、遺伝や生活の状況、そして栄養と健康の状態によっても影響を受けます。

まずは遺伝による「遺伝的要因」についてです。親が近視の場合、子供も近視になりやすい傾向があります。研究の結果でも、両親のどちらかが近視だと子供が近視になる確率は約2倍で、両親が共に近視だと5~6倍の確率で近視になることがわかっています

次に生活習慣が関係する「環境的要因」です。屋外での活動時間が短いことや、デジタル機器の長時間使用が近視の進行に影響を与えています。

近視を予防する鍵は、屋外活動を十分な時間行うことです。屋外活動を週に14時間以上(1日約2時間以上)行うと、近視になりにくくなることがわかっています。

そして最後に「栄養と健康」も関係しています。栄養バランスのとれた食事は、目の健康を維持し、近視の進行を抑制するのに役立ちます。

ビタミンA、ビタミンB群、カルシウムなどが含まれる食品を摂取することが大切です。

以上のように、子供の視力が下がってしまう要因として、子供の成長や心理的要因、環境による原因などさまざまです。

ですが、基本的には日ごとに気にするのではなく、長い期間を経て変動していく場合がほとんどです。一時的なものと安心せず、年に2〜3回など定期的に眼科に通い、検査をすることが大切です。

*参考 近視を引き起こす原因を知る - Myopia Square(マイオピア スクエア)

子供の視力が下がっている兆候

子供の視力が下がりはじめている場合、その兆候は親が目で見てわかるものなのでしょうか。実は視力が下がりはじめている場合に、子供が無意識にしてしまう「サイン」があり、それに注意することで早めに視力低下の兆候を発見することができます。

視力が下がりはじめたサインや変わった行動、日常生活の中でわかる仕草などを詳しく解説していきます。

視力が下がっているサインと変わった行動

子供の視力が低下しているサインとして、以下のような少し変わった行動を行うことがあります。

  • 物を近づけて見る
  • 目を細める
  • 上目づかいや横目使い

まず、子供がテレビや本を顔に近づけて見る行動は、視力が低下している可能性があります。物がはっきり見えないために、無意識に物を近づけて見ようとする行動です。

次に遠くを見る際に目を細める仕草も、視力低下のサインとなることがあります。遠くの物がぼやけて見えるために、目を細めてピントを合わせようとする行動です。

最後に、物を見る際に上目づかいをする、または横目使いでものをみる行動も、視力低下や目の異常を疑うべきサインです。ある一定の方向だと、近視や乱視の場合に見えやすくなるために起こす行動です。

これらの変わった行動、サインが見受けられた場合は、子供の視力に問題がある可能性が高いため、早めに眼科医の診察を受けることをオススメします。

日常生活でわかる視力低下のサイン

変わった行動による視力低下のサインをご紹介しましたが、子供の視力が低下していることを示すサインは、日常生活の中にもあらわれます。

たとえば、子供がテレビや本を異常に近くで見る行動は、近視や弱視のサインであることが多いです。映像や字がはっきり見えないために、近づいて見ようとする行動です。

また、目を細めてみたり、まばたきを繰り返す行動も、視力の問題を示している可能性があります。

視力低下のサインがあらわれた場合は、早めに眼科医の診察を受けることが大切です。子供の日常行動に注意をし、子供の行動に敏感になってあげることで近視の進行を防ぐことにつながります。

*参考 子どものなにげない行動に、 視力低下のサインが隠れているかも!

 

子どもの近視予防に「アイケアークリップ」もおすすめです。メガネにつけるだけで簡単なので、子どもでも手軽に使えます。姿勢の悪さや部屋の暗さを察知して振動で知らせてくれます。生活習慣の見直しに取り入れてみてはいかがでしょうか。

環境要因による子供の視力への影響とは

環境要因とは、日頃の過ごし方、子供の生活習慣などのことです。環境要因は近視の進行ととても深く関係しています。では実際にどのような影響があるのか、どのような対策で近視の進行を抑えられるのかを詳しく解説します。

デジタル機器による影響

スマートフォンやタブレットといったデジタル機器の長時間使用は、子供の目に大きな負担をかけ、視力の低下を引き起こす可能性が高くなります。

その理由のひとつとして、デジタル機器に集中するあまり近い距離で見続ける「近業」が挙げられます。デジタル機器を近い距離で見続けることにより、その状態でピントが合うように眼球が伸びるため、近視の進行を促進することがあります。

またデジタル機器を長時間使用すると、目の調節機能に障害が生じることがあります。「スマホ疲れ」や「スマホ老眼」とも呼ばれる状態です。さらに、デジタル機器を見続けることで、まばたきの回数が減少し、ドライアイを引き起こすこともあります。

また、近視とは別の悪影響もあります。液晶画面からはブルーライトがでていることから、眠る前にスマホなどで強い光を浴び続けると睡眠障害を引き起こす可能性があります。

子供の近視を予防するためには、デジタル機器の使用時間を制限し、定期的な休憩を取ることが重要です。たとえば、30分見続けたら、5〜10分休憩し、少し遠くを見るなどです。

また、子供の目の健康を守るためにも、定期的な眼科への検診を行い、場合によっては適切な処置をしてもらうことも大切です。

*参考 スマートフォンと子どもの目|【公式】大阪・高槻市登美の里の眼科専門医【丸山眼科医院】

*参考 子どもの近視の原因とは?遺伝と環境、近業に注意

屋外活動が視力にとって大切​​​​​​

屋外活動が子供の視力にとって大切である理由は、自然光の下での活動が視力の正常な発達を促進すること、そして日光にさらされることで近視の進行を抑える効果があることです。

文部科学省の調査によると、「小学1年生の約4人に一人の裸眼視力が1.0未満」という結果が出ており、近視の発症が低年齢化していることが懸念されています。

この原因として、スマートフォンやタブレット端末で近くを見る時間が長くなったこと、屋外活動の時間が減ったことが考えられています。

そのため、適切な屋外活動の時間を設けることが推奨されています。目標は1日2時間なのですが、2時間連続して行う必要はありません。トータル2時間が目安ですので、たとえば1時間ずつ4回に分けてもよいですし、2時間に満たなくても一定の効果は得られます。

デジタル機器の使用に関しては、保護者がしっかりと管理して子供の目を近視から守っていかなければなりません。子供の目の健康や、精神的健康のためにも、屋外活動の時間を意識的につくりましょう。

*参考 視力1.0未満の割合が小中高で過去最多に 文科省調査

*参考 【1日2時間の屋外活動で近視を予防!】子どもの視力を守る毎日の習慣

子供の視力は定期的にチェックしよう

子供の目を守る方法としてとくに重要なのは、定期的に眼科の検査を行うことです。なぜ定期的なチェックが必要なのか、どれくらいの頻度で検査に行くべきなのかに注目し、詳しく解説します。

成長期は急激に視力が低下する場合がある

成長期の子供、とくに就学前から小学生は急に視力が下がる経験をしやすいとされています。

理由としては、子供の目は体の成長とともに変化するためです。とくに小学生の時期には、遠くがぼやけて見える「近視」、遠くも近くもぼやけて見える「遠視」、遠くも近くもくっきりと見えにくい「乱視」などの屈折異常が主な原因となります。

しかし、まれに白内障や緑内障などの病気が原因で視力が低下することもあります。このため、子供の視力が急激に低下した場合、安易に考えずに必ず眼科を受診するようにしましょう。

また、近くを見る作業が多いことや、デジタル機器の長時間使用などといった環境的な要因も、子供の視力低下に影響していると考えられています。そのため、子供の日常生活において、適切な姿勢での勉強や読書、定期的な休憩を取ることが視力保護に効果的です。また、視力低下の進行を予防するためにも、眼科で検診し、専門医の適切な処置を行うことも大事です。

*参考 子供の視力が悪いといわれたら | 古川中央眼科

定期的に視力チェックすることが重要​​

前述したように、子供は成長期で視力が下がる経験をすることが多く、半年以内に視力が大きく変わることもあります。しかし、子供が自分から目が悪くなっていることに気づき、相談してくることは実は少ないです。そのため定期的な視力チェックで、子供の目の異常や病気を早めに発見することが大切です。

子供の視力検査は、遺伝性の近視が心配な場合は2~3ヶ月に1回、それ以外でも少なくとも年に2~3回のチェックが理想的です。子供の目の健康を守るために、眼科での定期的な視力チェックを怠らないようにしましょう。

そうすることで、近視を早めに発見することができ、眼鏡で矯正するなど適切な対応がとれ、近視の進行を早い段階で予防できます。

*参考 小児眼科 |日本国際眼科病院

子供の目を心配する親へ、サポートとアドバイス

子供の目を守るために親としてできるサポートやケアはどのようなことがあるのでしょうか。親としての心構えや健康的な習慣の知識、家庭でもできる取り組みに関して詳しく説明します。

子供の目の健康を守るための心構え

子供の目の健康を守るためには、親が積極的に関与する心構えが大切です。

まず、視力低下のサインに気づくために子供の些細な行動に注意し、定期的な検査に行くようにしましょう。

また、お家では日頃から子供の目の健康を守るための教育と意識付けをし、健康な生活習慣になるよう努めましょう。たとえば、子供の視力保護のために家庭内でのデジタル機器の使用時間の制限や、屋外活動を促進する環境を整えることなどが取り組めます。

ほかにも、適切な姿勢での勉強や読書、部屋の照明を適切な明るさに保つことも目にかかる負担を減らすために重要ですので、子供にもしっかり教えておきましょう。

親として、近視に対して正しい知識を持って子供に積極的に関わり、日頃からサポートやケアをすることが、子供の目の健康を守り近視の進行を予防することになります。

近視と向き合うために家庭でできる取り組み

子供の近視と向き合い家庭でできる取り組みは、日常生活の習慣を見直すことから始まります。

まず、子供のデジタル機器の使用時間を制限し、定期的な休憩を取らせることが重要です。使用する時は、画面を凝視し続けると目の筋力が緊張してしまうため、30分に5〜10分は遠くを見るなどして目を休ませることが推奨されます。

また、子供の食生活にも注意をすることが大切です。魚や豆製品、野菜などをしっかりとることで、目の健康に必要な栄養素を摂取できます。ビタミンAは視力を保ち、ビタミンCは目の粘膜を保護する働きをします。

さらに、十分な睡眠を確保することも目の健康には不可欠です。睡眠は目を休ませる意味でも重要で、寝室はできるだけ真っ暗にすることが望ましいです。

このように、家庭でできる取り組みはいくつもあります。また、取り組みの中で日頃から積極的に子供とコミュニケーションをとることが、視力低下のサインに気づくためにも大切なことです。気づいた場合は早めに眼科を受診させ、適切な処置をしましょう。

*参考 子どもの目にいい環境とは? 〜子どもの視力低下とその対策〜

「子供の視力変化」に関するよくある質問(FAQ)

最後に、子供の視力の変化に関するよくある質問をご紹介します。ここでの内容を参考に、子供の視力についての知識を深めていきましょう。

子供の視力が日によって違うのは普通ですか?

基本的に子供の視力は、数ヶ月単位で変動していきます。そのため、日によって異なるということはほとんどないでしょう。ただし、心理的状況や体調によって、多少視力が変動することはあります。

ですが、ある日突然大きな視力変動があった際は眼の疾患の可能性が考えられるので、すぐに眼科を受診しましょう。視力低下は早期発見・早期治療が鉄則です。

子供の視力が下がってしまう要因は?

視力が下がってしまう要因として、遺伝的な要因もありますが、日頃の生活習慣としてデジタル機器の長時間使用や、屋外活動時間の不足、栄養状態なども関係します。日頃から適切な生活習慣を意識づけて行うことが大切です。

日常でできる視力が下がらないための予防法は?

視力低下の予防法としては、眼科での定期的な視力チェックやデジタル機器の使用時間を決める、屋外で1日2時間ほど遊ばせる、ビタミンAやB群がとれる栄養バランスの良い食事にすることなどが効果的です。親が積極的に関与し、子供の視力を守ってあげましょう。

子供の視力が下がっている場合の対処法は?

視力の変化が見受けられた場合は、早めに眼科の診察を受け、眼鏡で適切な矯正をするなどの対応をとることが求められます。下がった視力をそのまま放置してしまうと、さらに近視が進行する恐れがあります。積極的に関わり、子供の目を守ってあげる行動をとりましょう。

屋外活動が子供の視力に良いって本当?

屋外活動は、日光浴を通じて近視の進行を抑制し、目の健康を維持するのにとても効果的です。屋外活動を週に14時間以上(1日2時間以上)行うと、近視になりにくくなることがわかっています。連続して2時間でなくても大丈夫ですので、積極的に屋外活動の時間をつくりましょう。

まとめ|子供の視力が下がらないように予防しよう

子供の視力は成長に合わせて変動します。視機能の発達がほぼ完成する6〜8歳ごろまでがとくに大切な期間にもなります。子供のためにも親が積極的にサポートやケアに関わることが、近視の進行を予防する上で一番効果的な対策です。

そして、子供の近視が気になったり近視の傾向がみられた場合は早めに眼科を受診することを心がけましょう。専門医による個々の子供に合わせた適切な対応をとることで、近視の進行を予防し、子供の目の健康を守ることにつながります。

 

この記事を監修した人

松井萌珠さん

看護師・視能訓練士(広石眼科医院) / 北九州市出身 2008年看護師免許取得

病院勤務を経て医療法人広石眼科医院入職(現職)。眼科検査の重要性を痛感,勤務しながら九州保健福祉大学で学び2021年視能訓練士免許取得。小児眼科を辰巳貞子先生(小児眼科医)平良美津子先生(視能訓練士)に師事。眼科勤務に邁進しつつ、みるみるプロジェクトアンバサダーとして子どもの眼の啓発活動にも取り組む。

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