親も気づかない「近くが見えにくい」子ども! 視力には「遠くを見る」視力と「近くを見る」視力があります。

子どもの気になる仕草。
実は「近くが見えにくい」サインかも?!

テレビや本に不自然なくらい顔を近づける。ひんぱんに目を細めたり、こすったりする。読むときに、目だけでなく頭も動いている。似たような文字をよく間違える……。
こういった、子どもの仕草や行動に「あれ?」と思ったことはありませんか?
もしかしたらその仕草は、子どもが発する「近くが見えにくい」サインかもしれません。

「近くだけが見えにくい」とは?


学校の視力検査では発見できない「近くが見えにくい子」

学校では年度初めに健康診断を行なっており、そのなかに視力検査があります。視力検査は「支障なく学習するためには、教室のどこから見ても黒板の文字が見える視力が必要」という考えに基づいて行われており、5m先のランドルト環(Cの図柄)を判別する「遠見視力検査」をしています。

遠見視力検査は「遠くが見えるか」を調べる検査なので、「遠くが見えにくい子」と「遠くも近くも見えにくい子」を発見することができます。しかし、「遠くは見えるけれど、近くが見えにくい子」は「遠くは見える」ので異常なしと判断されてしまうのです。
このため、学校の遠見視力検査では、「近くだけが見えにくい子」を、発見することはできません。

「近くだけが見えにくい子」の親は、学校の視力検査では「異常なし」なので、我が子が「近くが見えにくい」とは思いません。子ども自身も、これまでに「近くがハッキリ見えた」経験がないので「それが普通」だと思っており、自分から親や先生に「近くが見えにくい」と訴えることはありません。
つまり、「近くが見えるか」の視力検査を受けなければ、「近くだけが見えにくい」子を発見することはできないのです。

調査によると、「近くが見えにくい子」の割合は、小中学生の約20%にものぼるとされています。そして、「近くも遠くも見えにくい子」は約12%、「近くだけが見えにくい子」は、全体の約8%もいることが、分かっています。
100人中、約8人もいると考えられる「近くだけが見えにくい子」は、周囲の人や自分自身も「近くが見えにくい」ことに気づかないまま、一生を終えることになるかもしれません。

親が気づいてあげることが大切。

「近くが見えにくい」原因には、遠視や乱視、調節不良、強度近視など、さまざまな目の異状や疾病があります。多くの場合、早めに原因を見つけて治療をすれば、「近くもハッキリ見える」ようになります。
子どもの「近くを見る視力」が心配な場合は、学校や眼科医院で近見視力検査を受けることができます。近見視力検査は簡単にできるので、健康診断の時に「遠くを見る」視力検査と「近くを見る」視力検査をしている学校もあります。

子どもたちが、快適な日常生活を送ることができる環境を用意するのは、大人責任。まずは自分の子どもの視力に関心を持ち、正しい知識を身に付けることから始めましょう。

 

出典:髙橋ひとみ著『子どもの近見視力不良 黒板は見えても教科書が見えない子どもたち』

監修髙橋ひとみさん
桃山学院大学名誉教授。高知大学教育学部卒。2007年度東京大学大学院教育学研究科衛藤隆研究室私学研修員。2012年度金沢大学医薬保健研究域医学系藤原勝夫研究室私学研修員。専門は健康教育学分野で、長年近見視力をテーマにした研究に取り組んでいる。2015年、『「たべたのだあれ」視力検査キット』(フレーベル館)を考案し「第9回キッズデザイン賞」および2015年経済産業大臣賞を受賞。情報番組『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)でも紹介された。主な著書には『子どもの近見視力不良』(農文協)『3歳からできる視力検査』(自由企画社)『たべたのだれかな』(自由企画社)などがある。
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